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硝子秘伝書

今回からスタートするこの「硝子秘伝書」。一般の教科書には記載されていない硝子についての話題をさりげなく連載していきたいと思います。

その1 硝子溶解の熱量

第1回目はガラスを溶解させるのにどれくらいの熱量がいるかという話題です。

現在でもほとんどのガラスはガラス原料バッチを高温溶解して製造されていますので、この種の話題はガラスの製造に携わる方々には有益なことかと思います。具体的にはガラスを溶解させるのに必要な熱量をどのようにして求めるのか、ガラスの品種によってその熱量は変わるのかを取り上げてみます。まずはじめにガラス原料バッチから、高温のガラス融液に変化させるのに必要な熱量は不十分ながら理論計算で求めることができます。1953年Glastechn.Ber.に掲載されたKroger氏の論文の方法がそれです。不十分な点は全てのガラス化反応が記載されていないことですが、それでもガラスを溶解させるのに必要な熱量を計算で推定できることは有益です。この熱量を様々なガラスで求めるためにはやはり実験に頼らざるを得ません。そこでほぼどんなガラスでもその熱量を測定できる装置を試作しました。方法は簡単で、電鋳レンガで密閉容器を製作、この容器を小型電気炉の中に入れて1450℃に保持、原料バッチの入った白金るつぼをこの密閉容器内に入れてバッチを溶解させる作業を行いました。この電鋳レンガ製密閉容器の内壁、外壁には多数の熱電対が埋め込まれていますので、バッチの溶解中に外壁から内壁へ伝わる熱量を熱伝導の式から求めることができます。この熱量がガラスを溶解させるのに必要な熱量となります。念のため比熱が既知のアルミナ粉末を入れた白金るつぼで同様の操作を行い、補正を行いました。こうして得られた熱量(1kgのガラスを作る熱量)は一般のソーダライム系で600〜700kcal、Eガラス系では700〜800kcal、クリスタル系では500〜600kcalとなり、ガラスの種類で大きな差があることがわかりました。ちなみにソーダライム系のカレットは400kcal強となります。また、ソーダライム系で組成を特定したとき、測定値と計算値はドンピシャで同じ値を示しました。これらの結果を小さな学会で発表しましたところ、聴講された大学の先生が「意外に簡単に求めることができるのだ」とつぶやかれたのは印象的でした。

第2回目はガラスの加工の話題です。どうぞご期待ください。

NTR News第13号 (2000年8月21日発行) に掲載

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