Glass万華鏡
第3回 ガラスになぜ色がつくのでしょうか?
古くはステンドグラスのような装飾ガラス、最近はビルや自動車の窓ガラスに見られるようにガラスには様々な色がついています。こうした色は意図的であるか否かにかかわらず主として2つの理由によります。一つはガラスそのものに色がついている場合、もう一つは表面に膜がコーティングされそれが原因で色がつく場合です。東京にビールの色をした有名なビルディングがありますが、この色は表面にコーティングされた数種類の膜の組み合わせによるものです。
こうした膜による着色も興味深いものですが、ここではガラスそのものの着色を取り上げましょう。このガラスそのものを着色させる主な要因は、ガラス中の(1)金属イオン、(2)コロイド、(3)欠陥中心等ですが、(1)の金属イオンが最もポピュラーです。なぜ金属イオンがガラスを着色させるのか? 一言で言えば金属イオンがその電子遷移によって特定の色(波長)の光を吸収した結果、人は吸収された光以外の光を補色として感じるからです。たとえば、普通の窓ガラスに使われているフロートガラスはほんの少し緑に着色しています。これは1000nmを中心に強くブロードな吸収を持つガラス中の2価のFeイオンと430nm付近に吸収を持つ3価のFeイオンが原因です。2価のFeイオンによる青着色と3価のFeイオンによる黄褐色で緑になります。最近の自動車の窓ガラスに濃いグリーン系のガラスは、このFeの量を多くしたガラスですが、さらにCeやTiなどのイオンで熱線のカットと同時に有害な紫外線もカットしています。
次に(2)の光の波長よりも小さいコロイドもガラス中に存在すると特定の色(波長)の光を吸収するため着色の原因となります。たとえば、銀のコロイドは420nm付近を中心に紫〜青の光を吸収しガラスを黄に着色させます。(1)の金属イオンではなかなか得られない鮮やかな赤い色は銅や金のコロイドによるもので装飾ガラスに使われています。X線やγ線を照射した時に現れる(3)の欠陥中心も光の吸収を引き起こしガラスは着色します。このようにガラス中に存在する「もの」や「状態」が光を吸収し、その結果ガラスには補色としての色がつくということになります。
※NTR News第21号 (2003年4月10日発行) に掲載

