Glass万華鏡
第4回 強化ガラスは割れないか?
率直に言って、答えはNOです。強化ガラスは耐衝撃性に優れ、割れにくいガラスではありますが決して破損しないわけではありません。
強化ガラスには、大きくわけて『風冷強化ガラス』と『化学強化ガラス』の2種類があり、前者は建築用・自動車用など、後者は時計やカメラのカバーガラスなどというように、どちらも私たちの生活のごく近いところで使用されています。今回は『風冷強化ガラス』について簡単にご説明いたします。
どなたでも一度は道路などに四角い粒状のガラスの破片が落ちているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか。あれは風冷強化ガラスが破損したときにできる破片で、小さくしかも鈍角の破片となることから、破損した場合にも安全性が高いという特徴をもっています。そのため、強化ガラスは合わせガラスとともに安全ガラスとして人体との接触頻度の高い個所や破損した場合に危険性の高い個所、破損頻度の高い個所などに使われています(ドア周辺・浴室・学校など)。また、使用個所によっては、飛散防止フィルムを貼るなどして破片の脱落を防止している場合もあります。
では、なぜ風冷強化ガラスは強度が高く割れにくいのでしょうか。その理由はガラス表面の圧縮応力層にあります。風冷強化ガラスは、加熱したガラスを急激に冷却して、表面と内部に収縮差を生じさせることによって作られています。そのため、表面に一様な圧縮応力層と、内部にはその反対の引張応力層が存在するような構造になっています。
そもそもガラスの破壊は、ほとんどの場合、外力によって引張応力が負荷されることで表面の微細なクラック(キズ)が広げられ、伸展して起こります。そのため、ガラス表面に圧縮応力層が存在していると、外力(引張応力)に対抗する力となり、クラックが伸展しにくくなって、破損しにくくなるというわけです。
ただし、クラックが表面の圧縮応力層を超えて内部の引張応力層にまで達してしまうと、もともとそこに存在している引張応力によって、クラックはひとりでに伸展していきます。このとき、クラックは伸展しながらどんどん枝分かれするため、前述のような細かい破片がたくさん生じることになります。
ちなみに、風冷強化ガラスのJIS規格では強度を保持していることに加えて、破損したときの破片の大きさやその破片の数についても規定があります。また、実際の強度試験も実用状況に近い形で行われています。
※NTR News第22号 (2003年8月1日発行) に掲載

