- トップ
- コラム
- Glass Library
- 第3回 光ファイバーはなぜ切れない?
Glass Library
第3回 光ファイバーはなぜ切れない?
一昔前、敷設線がロール状に巻かれた光ファイバーを海に落としていく光景をテレビで見て、「ガラスが巻かれてる?なぜ切れないんだ?」と不思議に思っていました(1989年、第3次太平洋横断ケーブル)。ガラスは割れるもの、曲がらないものと信じ込んでいたのである。光ファイバーによる海外との通信回線整備はすでに過去のものとなり(世界各地で現在も続いているが)、いつのまにか家庭にも入り込んでいます。では、なぜ光ファイバーは切れないのでしょうか?(実際には強く曲げると切れるので注意しましょう)
ガラスというのは実は非常に強い材料です。理論強度は105 kg/cm2程度とされますが実際にはその百分の一程度の5×102 kg/cm2しか得られていません。しかし、光ファイバーは5×104 kg/cm2もの強度を有します。これはピアノ線 (2.5×104 kg/cm2) の2倍の強度になります。
ガラスが簡単に割れるのは表面に微細なキズがあり応力が集中するためと説明されています(グリフィスのキズ)。同じガラスでも面積が小さいほうが強度が大きいことや、ガラス繊維の場合には細い試料ほど強度が大きいことが知られています。寸法が小さいものの方がキズが入る確率が低いため強度が大きくなると言われています。
このようなキズはガラスが別の物体に触れることによって生じると考えられています。要するに他の物体に触れなければ高い強度が得られるということです。そこで光ファイバーはガラスの製造直後(というよりほぼ同時)にプラスチックで覆い、キズがつかないように細心の注意を払って製造されております。
割れないと言えば車のフロントガラスなどに利用されている強化ガラスも割れにくいガラスです。これは風冷強化という方法でガラス表面に圧縮応力層(内部より密度が高い状態)を作成しキズ(引っ張り応力の集中)がついても割れにくくしたものです。通常のガラスに対し1.5×103 kg/cm2と3倍強度になります。ただし、内部にまでキズが達すると破壊が一挙に広がり粉々に砕けます。通常のガラスよりも細かく砕けるため破片で怪我をしにくいので一石二鳥?ということです。
ガラスの強度、材料物性に関することは弊社の伊丹事業所にお尋ねください。
<参考文献>「ガラスへの誘い」南努著
※NTR News第26号 (2004年12月1日発行) に掲載

