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Glass Library
第6回 付着力測定
本欄ではガラスに関わる様々なことを紹介してまいりましたが、今回はちょっと一休みして、本業の分析について書いてみました。様々な機器分析が一般化している中で数値が先行し試料の観察が忘れられがちです。また、現象が複合的で分離できないような場合もあります。今回紹介する付着力試験は、試験後の観察が重要でありながら、現象が複合的で解釈の難しい評価のひとつであると思います。
ガラス・セラミック・有機材料問わず、基板に様々な機能を付加するために表面に薄膜を作製することは一般的な技術として定着しておりますが、作製の上で様々な問題解決を必要とすることが多々あります。機能としての光学的特性や電磁気特性、その他の目標とするべき特性を得るための解決のみならず、製品としての耐久性を得るために様々な物性測定が行われます。付着力試験もそのひとつですが、絶対値としての評価が困難な分析です。弊社でもスクラッチ試験による付着力試験を実施させていただいておりますが、JIS規格準拠の相対評価としております。
付着力試験にはいくつかの方法がありますが、どの評価方法も付着以外の何らかの影響を受けていると言えます。薄膜は基板にファンデルワールス力(分子間力)や化学的な結合で密着しているとされておりますが(ミキシング等の物理的な密着もある)、膜の応力という剥がれようとする力が働いているため、それらを複合した力を付着力として測定していることになります。また、スクラッチ試験などの方法は膜の硬度や摩擦係数等も測定値に影響を及ぼしておりますし、引っ張り試験等の接着剤を用いた方法では接着剤の硬化に伴う応力の発生や膜の変質等が測定値影響を及ぼすことになります。どちらの場合も測定条件(膜に対する負荷のかけ方)による影響も大きな誤差要因です。これら様々な因子を分離して測定できればさぞスッキリするだろうと思いますが、そこまでするのは現状では限界があるのも事実です。また、付着力測定では膜が剥離する試料としない試料での閾値を求めて、成膜条件に反映することを目的とされる場合がほとんどですので、そこまで各因子を分離した測定が求められないのも事実です。とは言え、科学的な興味として分離して気分的にスッキリしたいと思っておられる方も居られるのではないでしょうか。
現在、様々な製品開発を進める上で基板表面での現象を明確にする必要があり、数多くの分析手法が開発されております。表面現象が明らかになれば、新たな付着力測定方法も開発されることになるかもしれません。
※NTR News第29号 (2005年12月1日発行) に掲載

