- トップ
- コラム
- Glass Library
- 第16回 強化ガラスと耐熱ガラスのおはなし
Glass Library
第16回 強化ガラスと耐熱ガラスのおはなし
みなさんは強化ガラスと耐熱ガラスの違いってご存知ですか?普通のガラスより強い…といったイメージではないでしょうか?以前、NTR NEWS22号にて強化ガラスについてお話をさせて頂きましたが、今回は同じ割れにくいガラスとして有名な強化ガラスと耐熱ガラスの違いに注目してお話したいと思います。
まず、ガラスの性質について簡単に説明します。ガラスの持っている優れた特徴の一つとして硬くて強いというものがあります。ガラスは叩いたりしなければいつまでも割れません。ガラスは縮めようとする力(圧縮応力)には強いですが、引っ張られる力(引張応力)には弱いので、外力によって引張応力が負荷され、表面の細かなキズが成長することにより割れてしまいます。では、この外力にはどのようなものがあるかというと、大きく分けて2つ。強い衝撃を受けた場合と急激に温度を変化させた場合です。この前者を改善したものが強化ガラス、後者を改善したものが耐熱ガラスになります。
では、強化ガラスと耐熱ガラスについてご紹介したいと思います。外力による引張応力に対して抵抗する力=圧縮応力をガラス表面に入れたものが強化ガラスで、製造方法は大きく分けて2種類あります。熱いガラス板に冷たい風、または液で急冷することによって、圧縮応力を入れる物理的強化法と、比較的移動しやすいナトリウムイオンをイオン交換という処理方法で大きなカリウムイオンに置き換えてガラス表面に大きな圧縮応力を入れる化学的強化法とがあります。このようにして作られた強化ガラスは衝撃や風圧等の外力に対して、普通の板ガラスの3〜5倍の強度を持つため、衝撃に対して非常に強く割れにくくなっています。また、万一割れた場合にもガラスが粒状の破片になるので安全性が高いという特徴があります。
一方、耐熱ガラスは外力による引張応力に対して負けないように熱による伸び縮み(膨張率)を小さくしたガラスで、これにはホウケイ酸ガラスや結晶化ガラスが使われています。ホウケイ酸ガラスはホウ酸(B2O3)が含まれていることから熱膨張率が普通の板ガラスの約1/3と小さく、ガラスの軟化点が一般の板ガラスより約100℃高いという特性を持っています。また、結晶化ガラスは特殊な金属酸化物を含有する組成のガラスを成形し、熱処理を加えて多数の結晶核を均一に析出させ温度上昇とともにその上に結晶を成長させたガラスです。ホウケイ酸ガラスよりも熱膨張率が小さく、800℃に加熱した結晶化ガラスに0℃の水をかけても割れないという非常に優秀なガラスです。
近年、技術の発展か?または安全意識の向上か?ガラスの主な用途の1つである建築物以外に、ガラステーブル、ガラステーブルトップなど身近な物やガラスの階段やガラス張りのエレベーターなど、様々な場面で強化ガラスが使われています(強化ガラスシールを貼っているものもあるので気にかけて見てみてください)。また、耐熱ガラスは耐熱食器、冷凍用保存容器、電子レンジ用ガラス、調理機器、防火ガラスなどに利用されています。
このように、ガラスの強度をとても強くした強化ガラス、耐熱ガラスは幅広い分野で活躍していますが、衝撃に強いものと熱に強いものというように全く性質が異なります。そして、決して『割れないガラス』というわけでもありません。なので、ガラス製品は割れ物という意識を持って、用途に適したガラス製品を大切に使ってくださいね。
<参考文献>
作花済夫ら編:ガラスの百科事典、朝倉書店 (2007).
※NTR News第39号 (2009年5月7日発行) に掲載

