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光学薄膜技術紹介(2)
−光学薄膜の設計技術−

はじめに光学設計から作製までの流れ光学定数測定光学設計の思想光学計算の概要光学シミュレーションソフト関連ページ

NTR News第14号 (2001年1月1日発行) に掲載

はじめに

このコーナーでは前回に引き続き光学薄膜について紹介します。今回は、「光学薄膜の設計技術」について説明します。

「光学薄膜の設計」というと、なんだろう?と思われる方もいらっしゃると思います。光学薄膜とは、光の干渉作用を利用することにより"デザイン"された光学特性(透過率、反射率など)が付与された薄膜のことを示します。そして、デザインされた光学特性の薄膜を作製する際に、どのような材料の膜を、どのような積層順で、どのような膜厚で作製すれば良いかを決めることを"設計"といいます。家を建てる前に図面を描くのと同じことです。良い設計図がなければ頑強な家は建たちません。同じように、光学薄膜の場合も設計通りの光学特性を有する膜が安定して作製できるかどうかは、設計に掛かっているといっても過言ではありません。

今回は、光学設計を行う際の作業の進め方を中心にご紹介します。計算の具体的な中身は紙面の関係で省略します。詳細について知りたい方は是非ご連絡ください。

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光学設計から作製までの流れ

光学薄膜の設計から実際の成膜まで以下のような手順で行います。まず、目標とする光学特性を明確にします。次に、既存の光学定数(当社ではオリジナルのデータ-ベース)を用いて光学シミュレーションを実施します。これにより、使用する膜の種類、積層順、膜厚などの概要を把握します。次に、使用する材料の単層膜を実際の成膜プロセスにより成膜し、得られた膜の光学定数を測定します。このようにして得られた光学定数を使用して再設計を行います。この場合は各層の膜厚調整が主な目的になります。最後に各層膜厚が目標値から外れた場合の光学特性を計算します。この計算結果は、実際の成膜において実膜厚を目標膜厚に近づける作業時に使用します。

  • Step 1 目標光学特性の設定
  • Step 2 光学膜設計による膜材料の決定
  • Step 3 光学膜に使用する膜の光学定数を測定
  • Step 4 光学膜の再設計(微調整)
  • Step 5 光学膜作製のための指針作り(光学シミュレーションによる)
  • Step 6 成膜

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光学定数測定

エリプソメトリー

当社ではWoolam社製分光エリプソメトリー(右図)で光学定数(屈折率と消衰係数)を測定します。光学定数は直接に測定することができません。そこで、偏光特性を測定し、この結果からの最適化計算により光学定数を求めます。膜の光学定数は成膜プロセス条件に依存し、同じ材料でもその成膜条件が異なれば大きく変わります。膜の緻密度の低下による屈折率の低下、結晶構造の変化に伴う屈折率の変化、膜の酸化度による消衰係数の変化などは特に注意する必要があります。

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光学設計の思想

目標光学特性が1つでも、それを実現するための膜構成は多数存在することが一般的です。その場合には、目標の光学特性を得るために適した膜構成を選定する必要があります。この場合に設計者の思想が重要になります。すなわち、膜厚許容差が大きいことが大事です。

さらに、成膜コストを下げようとすれば、安い材料を選定し、膜の層数を少なくし、膜厚を薄くすることが大事です。

しかし、成膜の容易さ(目標光学特性を得るための繰り返し安定性)を重視すると、成膜コストとトレードオフの関係になることがあります。このときに、コストと繰り返し再現性を天秤にかけながら、膜構成を決定する必要があります。

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光学計算の概要

光には粒子としての性質と波としての性質の2つの性質がありますが、ここで説明するのは波としての光の性質に関する事です。

光の波長に近い膜厚の薄膜に入射した光は干渉作用により複雑な振る舞いをします。このような干渉現象の算術的取り扱いは、単純な積和の計算では不可能です。一般的にマトリックス法と呼ばれる計算手法が用いられます。マトリックス法では界面反射率、界面透過率、界面吸収率が算出可能です。すなわち、二つの媒質の界面(ここでいう界面の定義では、薄膜も界面に含まれます。)での光学特性を計算できます。

一方、実在する一般的な系では2つ以上の界面が存在するケースが多いです。例えば基板は有限の厚みであるために、基板には表面と裏面が存在し、空気/基板(表面)、基板(裏面)/空気の2つの界面が存在します。この場合には、各界面での界面透過率、界面反射率、界面吸収率をマトリックス法により計算します。その後に表面と裏面での反射、吸収を考慮した透過率、反射率を多重反射計算により求めます。この多重反射計算は、光の干渉が起こらない厚みの媒質に適用が可能です。

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光学シミュレーションソフト

最近は優れた光学シミュレーションソフトが数多く販売されています(表1参照)。用途に合わせてソフトを選定する必要がありそうです。

当社では、独自開発した光学シミュレーションソフト、米国製市販シミュレーションソフトの2種類を使用しております。それぞれのソフトに特徴があり、一方のソフトでは機能面で不充分です。

シミュレーションでお困りのことがありましたら当社の技術を御活用ください。

ソフト名 (社名) 性能等
OPTAS FILM
(Cybernet Systems Co.,Ltd.)
●分光透過率、分光反射率、色調の計算
●光学特性をターゲットに膜厚の最適化
●多層膜内に膜厚を含む場合も光学特性を計算可能
Essentila Macleod
(販社:シグマ光機株式会社)
(開発:Thin Film Center Inc.)
●光学薄膜の透過率、反射率計算
●要求特性をターゲットとする最適化計算
●材料の光学定数データベース管理
●物体色の計算
●電場分布解析
FIM STAR
(TECWAVE CORPORATION)
●透過率、反射率、色調を計算可能
●両面膜付き品も計算可能
●分光光度計の制御
●成膜中の光学特性のモニターリング
FILM WIZARD
(米国SCI社製)
(ヤーマン株式会社)
●透過率、反射率、位相を計算
●光学特性をターゲットにして、膜厚、屈折率、入射角、Rugate変数、傾斜層変数、EMA係数、超格子を最適化できる
●膜構成の自動設計ができる
光学多層膜自動設計ソフトウエア
(販社:新明和工業株式会社)
●透過率、反射率、位相差、色調等を計算
●膜厚、膜の屈折率を最適化計算

このページの情報に関するお問い合わせは、当社四日市事業所までお願いいたします。

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関連ページ

以下の技術情報もご参照ください。