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ナノからミリ領域での表面形状測定

はじめに原子間力顕微鏡 (AFM)電子線三次元粗さ解析装置 (3D-SEM)表面解析への応用関連ページ

NTR News第17号 (2001年12月1日発行) に掲載

はじめに

近年、ガラス表面やガラス基板上の薄膜表面に対する観察や測定の重要性が高まっています。ガラスという絶縁物のμmオーダーの領域での表面形状を測定するためには原子間力顕微鏡 (AFM : Atomic Force Microscopy) が一般的に使われています。当社ではAFMの他に電子線三次元粗さ解析装置 (3D-SEM) を使用して表面の形状測定を行っています(※現在、装置を廃棄したため3D-SEMの測定は行っておりません)。表面形状測定に有用と思われるこれらの装置について測定原理と測定例をご紹介します。

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原子間力顕微鏡 (AFM : Atomic Force Microscopy)

走査プローブ顕微鏡 (SPM : Scanning Probe Microscopy) は、1982年に発明された走査トンネル電子顕微鏡 (STM : Scanning Tunneling Microscopy) に端を発し、1986年には原子間力顕微鏡 (AFM : Atomic Force Microscopy) が続いて発明され、その後それらの技術を元にして開発された顕微鏡の総称です。

SPMに属する顕微鏡は、試料(金属、絶縁体等の無機物、あるいは有機物、生体試料)に適した環境下(真空中、空気中及び液体中)で試料表面の原子や分子を1個1個観察、操作できる可能性のある新しい顕微鏡技術です。このSPM技術は21世紀に盛んになるであろうと推測されるナノテクノロジーの分野で大きな役割を担うと予想されています。

1)測定原理

AFMは固体試料表面と探針間に働く力を検出物理量として観察しています。当社の装置では検出物理量の変化を光てこ方式を用いて検知しています(図1参照)。

fig1

図1. AFM装置の概要図

図1でカンチレバーの先端に形成されているのが、探針であるマイクロプローブです。半導体レーザー光をカンチレバーの背面に当て、その反射光が4分割光センサのおよそ中央部に来るようにセンサの位置を調整しておきます。その状態でカンチレバーを試料表面に近づけると、マイクロプローブの先端と試料表面の間に引力が働き、カンチレバーが試料表面側にたわみます。更に試料表面に近づけていくと今度は斥力が働き、カンチレバーが反ります。マイクロプローブが表面に接触した状態で、試料又はカンチレバーを走査すると、試料表面の凹凸に応じて、カンチレバーの反り具合が変化します。このカンチレバーの反りが一定になるようにカンチレバーと試料間の距離を調整しながら試料表面を走査し、得られた調整距離を画像化することで表面凹凸像を表示します。

2)測定例

当社で実際に行っている日本板硝子株式会社の情報電子カンパニーディスプレイ事業部のHDAP法で成膜されているITO膜測定のAFMでの測定例をご紹介します。図2にITO膜のAFM測定像(鳥瞰図)を示します。このようにAFM像は真上から測定した像を3次元的に表示することができます。また、図3は図2の測定面全体の表面粗さ解析Ra, Rz, P-V)の結果です。

fig2

図2. AFMによるITO膜の測定結果(鳥瞰図)

fig3

図3. 測定面全体の表面粗さの解析結果

この表面粗さ解析を用いて、HDAP法では表面が平坦になる成膜条件や下地となる基板ガラスと成膜される膜との表面形状の関係を把握するのに活用されています。図4では、前述の図3中における任意の断面を選択し、その断面形状を解析した例を示します。

fig4

図4. 3次元データから任意の2次元解析の結果

この場合でも任意の断面上における表面粗さを求めることができ、また特定の凸凹高さも測定できます。

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電子線三次元粗さ解析装置 (3D-SEM) 
(当社での分析受託は終了しました)

SEM写真の平面像から観察した試料の凹凸の高さが知りたいと思われた方は多いと思います。平面SEM像から三次元の形状を測定する方法としてはステレオ写真から計算する方法と表面の傾斜角度と二次電子(反射電子)強度の関係を元にして積分計算する方法があります。3D-SEMは傾斜角度と二次電子の強度の関係から表面形状を測定する装置です。

1)原理

試料面に電子線を照射した時に発生する二次電子の放出強度および角度分布は電子線入射角と共に変化します。図5に示すように、表面傾斜角度θにおける A, B 両検出器からの二次電子強度を A, B、垂直入射における二次電子強度を An ,Bn としてkを比例定数とすると (1) 式に示すような関係式が成り立ち、θが75度以下の場合には良い近似を示します。

  • tanθ = k(A2 - B2)/(An2 + Bn2)   (1)
fig5

図5. 3D-SEMの原理図

3D-SEMは4個の2次電子検出器を配置し、2個の検出器を A、もう2個の検出器を B とし、A, B の差信号をとることで入射電子線に対する試料表面の傾斜角を計算し、それを積分することにより表面形状の測定を行います。基本的にSEMで観察できる範囲の測定が可能であり、mmオーダーの範囲やAFMでは追随できないような大きな形状の試料を測定するのに3D-SEMは適しています。

ただし、3D-SEMは試料の凹凸を直接測定しているのではなく、二次電子強度から形状を算出しているため、二次電子が充分に検出できない細くて深い穴のような形状では本来の形状が測定できないことがあり、解析には注意が必要です。

2)測定例

図6はレンズアレイの平面SEM像です。SEM像からは六角形が平らなのか膨らんでいるのかが判断できません。この試料を3D−SEMで形状測定した鳥瞰図を図7に示します。六角形の内部が膨らんでいることが明らかとなりました。この六角形の中央を切り出して断面の二次元プロファイルを描いたのが図8です。この図中の任意の2点間の距離を測長した結果、この六角形は幅が約80μm、高さが約8μmであることが分かります。

その他にもJISに準拠した粗さ解析(Ra, Rmax, Rz)や切断面解析も可能であり、様々な3次元形状の解析に活用できます。

fig6

図6. レンズアレイのSEM写真(凹凸状態が分からない)

fig7

図7. レンズアレイの表面形状の測定結果(鳥瞰図)

fig8

図8. レンズアレイの二次元形状の解析の結果

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表面解析への応用

この他に当社ではDFM(ダイナミックフォースモード)、液中AFMやMFM(磁気力顕微鏡)等を行っています(現在、装置更新により液中AFMおよびMFMの測定は行っておりません)。特にDFMは表面凹凸の大きなサンプルや比較的吸着力の大きなサンプルの場合に使用しています。SPM測定としては、摩擦力顕微鏡 (FFM)、マイクロ粘弾性測定 (VE-AFM)、表面電位顕微鏡 (KFM)、近接場光学顕微鏡 (SNOM) 等があり、単に表面形状を評価するだけでなく、物性評価装置として期待されています。

AFMと3D-SEMは表面形状測定を行うという点では似た装置ですが測定方法、原理が異なっているために装置それぞれの特徴を持っています。表面解析には個々の装置の特性を生かし、活用することによって多様な解析が可能になると考えられます。


是非、一度当社の技術をお試し下さい。また、ご相談ありましたら、必要に応じて訪問させて頂きます。皆様のご相談をお待ちしております。

このページの情報に関するお問い合わせは、当社伊丹事業所までお願いいたします。

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