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EPMA(電子プローブマイクロアナライザー)

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NTR News第22号 (2003年8月1日発行) に掲載

今回ご紹介するEPMA(電子プローブマイクロアナライザー)は表面からバルクまで適応範囲は広く、データの信頼性も高いことからNTRでももっとも使用頻度の高い分析装置です。

1.測定原理

固体試料表面に細く絞った電子線を照射すると、図1に示すように特性X線 (hν) が発生します。これを波長やエネルギーに対して効率よく検出することにより、固体試料を構成している元素の種類とその含有量を知ることができます。

本来は、特性X線の波長から元素を識別する(WDX:波長分散型X線検出)のですが簡便な検出方法としてエネルギーにより分離する(EDX:エネルギー分散型X線検出)ことが可能です(図2)。

たとえば、走査型電子顕微鏡 (SEM) に装着して組成分析を同時に行えるのは、EDXの検出器のメリットでもあります。

ここでお気づきのように、励起源に電子線を用いるため、同時に放出される2次電子線や反射電子線も利用することができます。2次電子線は試料表面の形態観察(SEM像)および分析場所の選定に、反射電子は分析場所周辺の相対的な組成の違い(組成像)と形状(凹凸像)の知見を与えてくれます。

fig1

図1.特性X線の発生過程

fig2

図2.EPMAの測定原理

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2.測定メニュー

NTRのEPMAは次のような測定が可能です。

1) 像撮影 特性X線像 (B〜U)、二次電子線像、反射電子線像(凹凸像、組成像)の撮影
2) 定性分析 ピークエネルギー (EDX) 及び波長 (WDX) から元素の定性分析(対象元素はEDX:Na〜U、WDX:B〜U)
3)(半)定量分析 標準試料を用いて特性X線強度からZAF補正による定量分析(EDXでは標準試料を使用せずに装置内の補正計算による半定量が多い)
4) 線分析 最小数μm〜最大数cmの指定した線上(線幅1〜200μm)の元素分布
5) カラーマッピング 最小10μm〜最大数cmの指定した領域の元素分布分析
6) 状態分析 FeやCuなどは、最外殻の電子情報を特性X線の波長シフトに含みますので、このシフト量から酸化状態などを知ることができます。

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3.測定例

今回はWDXを利用した測定例の中でも線分析とカラーマッピング、およびお問い合わせの多い微小なガラス片の組成分析をご紹介いたします。

1)線分析

ガラスは均質であることが求められますが、溶解時に組成ムラが発生する場合があります。このとき、わずかに屈折率が変化するために目視でわかる場合が多いのですが、組成差は0.03〜0.05wt%とわずかなため、EDXでは違いがわかりません。このような場合に線分析を用いると、組成中のどの元素が多いのか(あるいは少ないのか)という情報を得ることができます(図3)。

fig3

図3.ガラス組成ムラの線分析の結果

2)カラーマッピング

各分析点で検出される特性X線の強度をデジタル信号としてX-Y座標に記録し、面方向での組成の分布を見ることができます。高い空間分解能を得ることができるビームスキャン法と、大面積を測定できるステージスキャン法の2種類があります。

ビームスキャン法でガラス中に混入した異物(クロマイト)を分析した例を図4に示しますが、内部はFeCr2O4のクロマイト結晶であるのに対して、外側ではガラスとクロマイトの反応で針状結晶 (Cr2O3) が成長している様子など、詳細な元素の分布を知ることができます。

fig4-1 fig4-2 fig4-3

図4.ガラス中異物(クロマイト)のカラーマッピングの結果

さらに、単独のマップだけでなく、3元素までを組み合わせて表示させることが可能です。フリットガラスを組成像で観察すると、図5のように輝度の異なる領域が存在します。同じサンプルについてフリットガラス中の成分 (Zn, Pb) を測定すると、図6が得られます。紙面がフルカラーではないため、像はわかりづらいですが、右のバーに測定元素の組み合わせとその占有面積が表示されています。

すなわち、視覚的な議論ではなく、定量的な解析が可能となります。加えて、ステージスキャン法を採用したことで1mm□の大きな領域について、平均的な分布を知ることができます。

また、元素ごとに表示強度を指定できるために、不要なノイズを削除することも容易です。

fig5 fig6

図5.フリットガラスの反射電子線像(組成像)の写真

図6.3元素のコンビネーションマップ

3)ガラス片の組成分析

fig7

図7.ガラス片の組成分析

4)耐火煉瓦の分析

ガラス耐火物の侵食状況についてデジタルマッピングで解析した例を示します。

fig8-1 fig8-2 fig8-3

Na成分の分布  
ガラス相(緑)とアルミナ煉瓦(青)との間にアルカリ侵食相(黄)とネフェリン結晶(赤)が形成されている。

Zr成分の分布  
ガラス相(上部の青)中に存在するジルコニア煉瓦の粒子(バテライト)の存在がよくわかる。

Si成分の分布  
ガラス相(黄緑)がアルミナ煉瓦(青)の内部にアルカリ侵食によってネフェリンと共に形成されている。

測定例1:耐火煉瓦のガラス相による侵食状態の分析例

fig9-1 fig9-2 fig9-3

Na成分の分布 
ガラス中でのアルミナ・ジルコニア煉瓦の侵食によるガラス素地へのNa成分の拡散状態がわかる。

Zr成分の分布  
アルミナ・ジルコニア煉瓦の構成相ジルコニア(バテライト)とガラスへのZr成分の拡散状態がわかる。

Si成分の分布  
耐火煉瓦の侵食にも関わらず、ガラス素地のSi成分の濃度は比較的均質であることがわかる。

測定例2:ガラス中のアルミナ・ジルコニア煉瓦の異物の分析例

このページの情報に関するお問い合わせは、当社伊丹事業所までお願いいたします。

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