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初級コース 色・屈折率
|はじめに|ガラスの色について|色評価について|ガラスの屈折率について|参考文献|
※NTR News第25号 (2004年8月1日発行) に掲載
はじめに
ガラスは我々の身の回りに多く存在している。例えば建築物や車両の窓ガラス、テレビや電球、食器、飲料や薬品のビン、さらに目に見えない箇所では、光伝達・通信用等の光学部品としても使用されている。一般的なガラスは無色透明であるが用途によっては有色のガラスもあり、光学部品としては屈折率を重視して作製される。そこで、Glass University第二回では、「ガラスの色・屈折率」について紹介・解説する。
ガラスの色について
ガラス自体が着色する原因は、主に (1) 金属イオンの吸収による着色 (2) コロイド粒子による着色 (3) 着色中心の吸収による着色がある。
(1) の場合では、Ni、Fe等の遷移金属や、Ce、Nd等の希土類元素の影響であり、遷移金属イオンにおいてはd軌道が完全には満たされておらず、希土類イオンにおいてはf軌道が完全には満たされていない。d電子およびf電子のエネルギー準位の差は可視光のエネルギーと同程度であるので、これらの電子遷移が着色の原因となる。表1に遷移金属イオンによる着色例を示す。これらの元素は極少量存在していても、可視域のある特定の波長(光)を吸収するため、その補色の色が我々眼に色として認識される。例えば、Ti (Ti3+) は青色を示す金属であるが、青色の補色は黄色であるため、黄色系の波長(800nm〜500nm付近、実際には、赤系〜緑系)を吸収し、結果的に、青色の光、すなわち、λ=500nm〜400nm(青〜藍系)付近の波長が強く反射され、その反射光が人間に眼に入り、青色として認識される。
(2) に関してはガラス中に可視光の波長よりも小さいコロイドが存在すると着色が起こり、(3) の場合は、ガラスにX線、γ線などを照射すると電子が原子から解放され、その一部はガラス構造中に捉えられて欠点中心を形成し、これが着色の原因となる。
一方、光学的機能性能を付与した色調制御ガラスも存在する。例えば、熱線カットの性能があり、かつ、有色に見えるガラスであるが、この場合は、ガラス上に特殊な薄膜をコーティングし、薄膜の干渉効果により色が発生している。薄膜の干渉効果による色の発生は、薄膜の屈折率・膜厚で決定され、これらを制御する事により、自在に色を変える事も可能である。
表1 遷移金属イオンによる着色例
| 金属 | 電荷数 | 色 |
|---|---|---|
| Ti | Ti3+ | 青色 |
| V | V3+ | 緑色 |
| V4+ | 緑色 | |
| V3+ | 淡黄緑色 | |
| Cr | Cr3+ | 緑色 |
| Cr6+ | 淡黄色 | |
| Mn | Mn2+ | 淡赤紫色 |
| Mn3+ | 紫褐色 | |
| Fe | Fe2+ | 青緑色 |
| Fe3+ | 褐色 | |
| Co | Co2+ | 青色〜ピンク色 |
| Ni | Ni2+ | 黄褐色〜暗紫色 |
| Cu | Cu2+ | 青色 |
| Cu+ | 黄色〜無色 | |
| Mo | Mo3+ | 橙色 |
| Mo4+ | 緑色 |
「はじめてガラスを作る人のために」 著:山根 正之より抜粋
色評価について
ここで色について補足する。人間の眼で見える光は可視光線と呼ばれ、一般的には780nm〜380nmの波長域を指し、物体から反射された可視光を色として認識する。そのため、物体の反射光を測定すれば、色評価が定量的に可能となる。色の認識は個人差がある事から、定量評価するために様々な標準規格がある。国際照明委員会 (CIE) で様々な基準が制定されており、JIS規格(JIS-Z8729等)に反映されている。一般的に利用されている定量値は、CIE1976表色系(L*a*b*表色系)で、+L*は明度、+a*は赤(-は緑)、+b*は青色(-は黄)を意味する(図1にL*a*b*表色系の色立体図を示す)。
図1 L*a*b*表色系の色立体図
ガラスの屈折率について
光が物質を通過するとき、光の進路の向きを変える現象を光の屈折と呼ぶ。そして、物質が起す光の屈折は屈折率で決定され、屈折率 (N) は真空中での光の速度 (c) と媒質中での光の速度 (s) の比 (N≡c/s) で定義される(物質に吸収が生じている場合、屈折率 (N) は、しばしば、複素屈折率 (N=n-ik) として扱われ、nを屈折率、kを消衰係数と呼ぶこともある)。さらに、屈折率は波長分散特性を有する。また、光が二つの媒質の界面にその一方から入射すると、入射光の一部は界面で反射され、残部は屈折して他方の媒質内に進入し、このそれぞれの光の進行方向については、反射の法則及び屈折の法則(スネルの法則)が成り立つ。
屈折率は物質の光学的性質を特徴づける基本的な物性で、特に光学ガラスでは実用的にも最も大事な物性の一つとなる。光学ガラスとは、レンズまたはプリズムとして光学系において像の伝達に用いられ、内部の屈折率が均等で光の吸収が少ない特別なガラスであり、レンズ作製では屈折率が、プリズム作製では波長分散特性が重要となる。
ガラスのカタログ等には様々な物性値が記載されているが、ガラスの屈折率値はNdで表記されている(Nは屈折率を示し、dはD線を意味している)。ガラスの屈折率評価は、アッベ法、プルフリッヒ法等様々な手法があるが、評価する光は光源の輝線を用いており、D線とはNaランプ光源の輝線で(λ=589.3nm)、人間の眼に感度の良い光のため、基準波長として用いられている(表2に輝線と波長の関係を示す)。また、屈折率は光の波長によって変化するため、波長分散性があるが、分散の程度は、アッベ数:ν=(Nd-1)/(NF-NC)、平均分散:NF-NCなどで表される。他の分散評価手法としては、分光エリプソメトリー(偏向解析法)にて、波長VS屈折率の評価が可能である。
表2 単色光と波長の関係
| 名称 | 波長 |
|---|---|
| C線 | 656.3nm |
| D線 | 589.3nm |
| E線 | 527.0nm |
| F線 | 486.1nm |
参考文献
「ガラスハンドブック」著:作花済夫・境野照雄・高橋克明 編集:朝倉書店
「レンズが分かる本」著:永田信一 出版:日本実業出版
「はじめてガラスを作る人のために」著:山根正之 出版:内田老鶴圃
当社は、薄膜や多層膜の光学測定と光学定数の測定を得意としております。お気軽に各種基板やガラスの分光透過率、分光反射率、屈折率、および消衰係数の測定についてお問い合わせ下さい。
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関連ページ
以下の技術情報もご参照ください。
- 分析・試作技術紹介「分光光学(透過率・反射率)測定」
- 分析・試作技術紹介「分光エリプソメトリー(光学定数測定)」
- 試験分析講座「色特性の計算」
- 試験分析講座「光学シミュレーション」

