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初級コース ガラスの組成と化学的性質

はじめにガラスの組成と化学的性質ガラスの組成分析について化学的耐久性について参考文献

NTR News第26号 (2004年12月1日発行) に掲載

はじめに

ガラスは我々の身の回りに多く存在している。例えば建築物や車両の窓ガラス、テレビや電球、食器、飲料や薬品のビン、さらに目に見えない箇所では、光伝達・通信用等の光学部品としても使用されている。一般的なガラスは無色透明であるが用途によっては有色のガラスもあり、光学部品としては屈折率を重視して作製される。そこで、Glass University第3回では、「ガラスの組成と化学的性質」について紹介・解説する。

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ガラスの組成と化学的性質

代表的なガラスの化学組成と化学的性質について説明する。

1.シリカガラス (SiO2)

シリカガラスは網目形成酸化物単独の1成分ガラスの中で唯一の実用ガラスである。溶融に極めて高温(2000℃以上)を要し実用ガラスとしては高価であるが、化学的耐久性、耐熱性、耐熱衝撃性など多くの優れた部分を持ち合わせており、特殊ガラスとして用いられている。

2.ソーダ石灰シリカガラス (Na2O-CaO-SiO2)

大量使用の実用ガラス(容器ガラス・板ガラスなど)は、一般的に大部分が多成分ケイ酸塩ガラスであり、SiO2原料の珪砂、珪石粉を用い、そこに他の修飾酸化物を添加し作られる。他の修飾酸化物を添加することにより、溶融時極めて高温を要したSiO2単独のものと比べ、溶融温度を下げなおかつ各修飾酸化物の特徴を活かしたガラスを作ることができる。実用ガラスは生産に適したソーダ石灰シリカガラスが用いられる。このソーダ石灰シリカガラスは、容器ガラス・板ガラスに用いる硬質ソーダ石灰シリカガラスと蛍光灯用軟質ソーダ石灰シリカガラスに大別される。容器ガラス・板ガラスではNa2O-CaO-SiO2系の成分の一部を他の酸化物で置換しており、Na2O・K2O-CaO・MgO-Al2O3-SiO2の組成となる。この組成中の各成分は次のような効果をもたらす。

  1. CaO:Na2O 導入に伴う化学耐久性低下を改善する。
  2. MgO:Na2O-CaO-SiO2系ガラスの化学的耐久性及び失透性を実用範囲に収めるために必要となる。
  3. K2O:Na2Oとの混合アルカリ効果により化学的耐久性を改善し、電気抵抗を増大、徐冷温度を低下させ表面張力を減少させる。そして液相温度を低下させ失透を抑制する働きも持つ。
  4. Al2O3:耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を改善し、液相温度を低下させ結晶化温度を抑制する。

また蛍光灯用の軟質ソーダ石灰シリカガラスの組成は、Na2O・K2O-CaO・MgO-Al2O3・B2O3-SiO2である。

3.鉛ガラス (K2O-PbO-SiO2)

K2O-PbO-SiO2系を主とする鉛ガラスは、PbOの融剤効果によりアルカリ含有量を少なくし電気抵抗の大きいガラスを容易に作ることが可能で、クリスタルガラスや光学ガラス、放射線遮断用ガラスなどに用いられる。

4.ホウケイ酸塩ガラス (Na2O-B2O3-SiO2)

ホウケイ酸塩ガラスは、ガラス構造内のホウ素イオン (B3+) が周囲の状態により3配位か4配位の酸素イオンをとる([BO3]、[BO4])ことで、化学的耐久性・耐熱性・電気絶縁性に優れた特徴を持ち、中性子遮断ガラス、電気絶縁ガラスなどに用いられている。

5.無アルカリガラス(R'O-Al2O3-SiO2 R'は2価の元素)

アルカリ酸化物を含まない無アルカリガラスは、優れた耐熱性・高電気絶縁性・高弾性率を持ち合わせており、プリント配線基板用の布材などの繊維に用いられている。

一般的特性については以下のものが挙げられる。

  1. 膨張係数が低い。
  2. 耐水性に富み、耐アルカリ性も良い。しかし耐酸性は一般的に低い。
  3. 粘度が温度下降につれ急激に変化する。
  4. 転移温度や徐冷温度が高いため徐冷が困難である。
  5. 軟化点が約900℃と高く耐熱性に富む。
  6. 弾性性率が高い。

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ガラスの組成分析について

ガラスの組成分析は成分の種類や含有量により分析手法を選択する必要があり、代表的な成分であるSiO2についても図1に示すように様々な分析手法がある。注目するものとしては、湿式分析によるSiO2の定量する際にJIS-R3101で定められている凝集法を用いる点である。この凝集法は融解したガラスをコロイド状にした後、試薬を添加しSiO2を凝集させたものを灰化し重量を測定するというものである。

図1

図1.ガラス中のSiO2の分析方法

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化学的耐久性について

ガラスは一般的に水や酸に溶けにくいと言われているが、実際はわずかに溶ける。また、長時間の風化作用により変質し、青ヤケと呼ばれるガラス表面に紅彩を生じたり、白ヤケという白っぽいくもりが現れたりする。化学的耐久性はガラスの化学組成により異なるため、ガラス評価において必要不可欠なものである。

最も一般的な化学的耐久性は耐水性である。この耐久性評価法は2種類あり、特定の粒度範囲のガラス粉末(比重と同量)を水とともに加熱しガラス成分の溶出量を測定する粉末法と、規定面積を使用し容器に水を入れ溶出量を測定する表面法がある。これらの二つの評価方法はどちらも一連の操作(溶出アルカリを硫酸で滴定、定量)は同じだが、前者の方法では広面積のガラスの新鮮破断面が使用されるが試料調製方法に影響される。後者では表面状態の履歴により試料調製が大きく影響される。

次にソーダ石灰ガラス中のSiO2を他の成分に置換したときの各組成ガラスの相関関係を図2に示す。耐水性ではSiO2成分を置換する酸化物量が多いほど耐水性に優れ、特に効果が高いのはLa2O3やAl2O3である。耐酸性についてはSiO2を増量するのが最も有効であるが、TiO2やZrO2で置換したガラスは比較的耐酸性の効果が見られる。しかしLa2O3やAl2O3は耐酸性を悪化させる挙動を示す。耐アルカリ性については、ZrO2で置換したガラスが耐アルカリ性に優れているがAl2O3では著しく悪化させていることがわかる。以上より、化学的耐久性の改善要素として、耐水性はLa2O3やAl2O3、耐酸性は一定量のTiO2やZrO2で置換もしくはSiO2の増量、耐アルカリ性にはZrO2を添加するのが有効である。

図2

図2 ソーダ石灰ガラス中のSiO2を置換した組成についての相関関係
(a) 耐水性試験 JIS-R3502による
(b) 耐酸性試験 20wt%HCl、96℃、3時間処理
(c) 耐アルカリ性試験 2N-NaOH、95℃、4時間処理

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参考文献

「ガラスハンドブック」作花済夫・境野照雄・高橋克明 編集、朝倉書店
「はじめてガラスを作る人のために」山根正之、内田老鶴圃
「ガラス工学ハンドブック」山根正之・安井至・和田正道 編集、朝倉書店
ニューガラス大学院 基礎課程テキスト 2003年版


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