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ガラス欠点の分析

ガラス中の異物の種類異物同定方法ふし欠点(knot)や脈理(ream)の分析

NTR News第36号 (2008年5月7日発行) に掲載

ガラスの製造において、異物(stone)やふし欠点(knot)などは破損や光学的な不良を生み出します。このような欠点を減少させるために様々な対策を講じる必要がありますが、その対策を決定するためには異物の発生原因を特定(推定)する必要があります。弊社では「異物の同定」や「異物周辺の拡散相の解析」を通じて、製造上のトラブル解決のための手がかりを得るお手伝いをさせていただいております。

ガラス中の異物 (stone) の種類

主な異物発生の原因には原料などの「未溶解物」や「難溶解性鉱物」、原料の選鉱や輸送段階での「コンタミネーション」、窯の「耐火物」や「構造物」の混入、あるいはガラスの冷却過程で液相から再結晶化した「失透物」などが考えられます。弊社でも主要な鉱物相だけでも数十種類を確認しており、その起源や発生過程は多岐にわたります。一般的な異物を表1に示します。

表1 ガラスに含まれる一般的な異物欠点

鉱物名 学名 組成 状態・起源
石英 quartz SiO2 未溶解異物
トリディマイト tridymite SiO2 失透異物・未溶解相転移
クリストバライト cristobalite SiO2 失透異物・未溶解相転移
バデレアイト baddeleyite ZrO2 煉瓦異物・失透異物
ネフェリン nepheline NaAlSiO4 失透異物・反応相
リューサイト leucite KAlSi2O6 失透異物・反応相
珪灰石 wollastonite CaSiO3 失透異物
ムライト mullite Al6Si2O13 失透異物・煉瓦異物
コランダム corundum Al2O3 煉瓦異物・重鉱物・反応相
紅柱石 andalusite Al2SiO5 重鉱物
珪線石 sillimanite Al2SiO5 煉瓦異物・重鉱物
クロマイト chromite FeCr2O4 重鉱物・汚染
その他     金属異物等

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異物同定方法

ガラス中の異物の同定には以下の分析方法を用いております。

  1. 偏光顕微鏡観察(薄片観察)
  2. X線マイクロアナリシス(EPMA:Electron Probe MicroAnalysis)
  3. X線回折法(XRD:X-ray Diffraction)

1.偏光顕微鏡観察

偏光顕微鏡観察では、光学的な特徴から異物を同定することができます。表1からわかるとおり、同じ組成でも何種類かの結晶相がある場合(多形あるいは同質異像)や、起源が異なる場合があります。例えば「石英」「トリディマイト」「クリストバライト」は全てSiO2です。組成分析のみではなく、光学顕微鏡観察によって、結晶相を同定することが重要であることがわかります。また、構造や組織を詳細に観察できるため、ガラス素地への混入前の組織や結晶形態、反応相の状況などから、起源が推定可能な場合が多々あります。したがって、偏光顕微鏡観察は異物欠点の解析において一番基本的で重要な手法であるといえます。

fig.1a fig.1b

図1.ガラス中の異物の偏光顕微鏡写真(左:オープンニコル、右:クロスニコル)
電鋳煉瓦の構造を残すバデレアイトと反応相のネフェリンからなる異物

2.X線マイクロアナリシス (EPMA)

EPMAは異物のような微小部分の組成分析において強力なツールです。その簡便さから主要な分析方法といえます。EPMAを用いるメリットは以下のとおりです。

  • 確実な組成データが得られます(定量値もほぼ正しく得られます)。
  • 未知の異物欠点の解析に迅速に対応可能です。
  • 異物周辺のガラス相の組成から異物の発生原因の推定が可能な場合もあります。

異物の結晶相の同定は定性・半定量分析で十分対応可能ですが、定量分析を実施することにより、微量成分も精度良く測定できます(検出限界:約0.02〜0.05wt%)。また、異物は同じ結晶相であっても起因が異なる場合が多々あります。そのような場合、異物周辺部分の拡散相をEPMAを用いて定性分析することで、貴重な情報を得ることができます。例えば、「耐火煉瓦に含まれている元素の同定」は、考えられる起因が多岐にわたる場合に重要な知見を与えてくれます。

また、電子線を線状に移動させて組成分布を調べる「線分析法」を用いて拡散相を評価することで、異物の混入温度の推定ができる可能性もあります。「二次元元素マッピング分析法」は異物の組織や拡散相の様子も的確に捉えることができ、起源推定に重要な知見を与えてくれます。

3.X線回折法 (XRD)

XRDは詳細な結晶相の同定に重要な方法です。異物全体を粉末化し分析しますので、顕微鏡観察やEPMAではわからない詳細な結晶相の組み合わせを知ることができます。また、入射スリットの調整や、照射されるX線の光学系を最適化することで、粉末化せずにΦ300μm程度の微小な多結晶異物も測定することができます。

異物分析の進め方を図2に示します。

fig.2

図2.異物分析の流れ

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ふし欠点 (knot) や脈理 (ream) の分析

ガラスの異物欠点には結晶相を伴わない場合も多くあります。ふし欠点は、異物(結晶相)が溶解して液相のみが残った場合や、煉瓦表面の侵食されたガラス相がガラス素地に混入するなど、特に拡散のしにくい粘性の高い液相によって、節状なガラス相(溶融液滴)が形成されたものです。通常は数百μm程度の大きさです。内部に液相成長した二次結晶(失透物)が存在することもあります。一方、脈理はガラスが不均質である場合に組成差のある部分が屈折率の違いから線状や帯状に見える欠点を言います。

どちらの欠点もEPMAによる組成分析を行うことが基本です。特に「線分析」によって通常部分と比較してどのような元素が多く(もしくは少なく)含まれているか確認することが、発生原因や発生場所の推定に役立ちます。また、組成差のみでは特定が困難な場合には、予想される原因物質を実際にガラス中で溶解し、その拡散状態の比較から、原因物質を推定していくという方法もあります。

今回は一般的な異物分析の進め方をご紹介いたしました。異物の種類や発生状況によって、進め方は変わってきますので、到着した試料を確認し、最適な方法をご提案させていただくことも可能です。ぜひご利用ください。

<参考文献>
酒井千尋 (2000):ガラスの異物解析, NEW GLASS, 15, 4, P25.


このページの情報に関するお問い合わせは、当社伊丹事業所までお願いいたします。

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