高分解能SEM観察
|はじめに|薄膜の表面SEM観察|薄膜の断面SEM観察|EDXによる線分析とマップ分析|関連情報|
はじめに
薄膜や多層膜の構造と組織の観察に対して、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)は非常に有効な評価装置です。今回は、このFE-SEMを用いた薄膜の5万倍〜20万倍での高分解能写真の撮影についてご紹介します。透過型電子顕微鏡(TEM)においてもサンプルの作製技術は非常に重要であり、今回はこの部分にも触れますが、その内容は当社のノウハウに関するものですので詳細は省略します。是非一度、ガラスサンプルに関して当社の永年の経験と信頼性の高いSEM評価技術をお試し下さい。
薄膜の表面状態(表面粗さや凹凸、あるいは粒子形状や結晶相の組織など)の観察は、薄膜製品の研究開発や製造技術の向上に対して非常に重要な評価技術です。また、製造時のトラブルやクレームに対しても、製品のSEM写真による観察や評価は、迅速な対応や視覚的にも説得性があるなど重要な評価ツールの1つとなっています。
ここでは、主に当社のSEMによる薄膜の観察結果を紹介しながら、主に薄膜の表面部分の観察と断面方向での観察に詳細について、得られた画像を見ながら紹介していきます。
当社の各事業所には以下に示す3台の走査型電子顕微鏡(SEM)を配置しています。
| 事業所 | FE-SEMの機種 | 付随機能、特徴 |
|---|---|---|
| 筑波 | 日立製作所製 S-4000 | EDX(5B〜91U) |
| 伊丹 | 日立製作所製 S-4500 | EDX(5B〜91U) |
| 相模原 | 日立製作所製 S-4700 | EDX(5B〜91U)、画像電子ファイル化 |
データや操作性の互換性を重要視して、それぞれの事業所でのSEMの装置メーカーは同一としていますが、製造時期の違いでその性能(主に分解能)に対しては若干の違いがあります(上記の表で筑波→伊丹→相模原と機種は新しくなります)。撮影倍率で大まかに特徴を示すと、伊丹事業所と筑波事業所では約10万倍程度の倍率での観察が常時可能です。また相模原事業所では15万倍での撮影も行っており、20万倍の撮影にも挑戦しています。
メーカーのカタログなどに記載された装置性能の1つである空間分解能は、実際のサンプル撮影にも影響しますが、それ以上にサンプルの表面状態やサンプル可能に対する作製方法と調整技術、あるいは非点補正や焦点調整などが重要なファクターとなります。特に装置のオペレータの技能や技術の向上は重要であり、当社でも各事業所間で連携を行いながら基盤技術の向上に努めています。
薄膜の表面SEM観察
表面部分のSEM観察における電子線や特性X線の発生の状態
上図は、表面部分のSEM観察における電子線照射と発生する二次電子線、および特性X線の状態を概略的まとめたものです。このように、SEM観察と同時にEDX(エネルギー分散型X線検出装置)を用いて薄膜の組成の分析(大部分は半定量分析までで、定量分析は難しい)をすることができます。
導電処理を行った薄膜サンプルの表面SEM写真
本紹介では、まず薄膜の表面観察について紹介していきます。以下の写真は薄膜の表面の微細組織を観察した結果です。
当社の表面SEM観察では、相模原事業所のS-4700を用いることによって、20万倍までの倍率で写真撮影をすることができます。下記の写真では、左図のように照射される電子線や発生する二次電子線の帯電を防ぐために、サンプル表面に導電性の物質(Pt-Pdコート)をスパッタコートしています。
このようなサンプルでは、いわゆるサンプル表面のそのままの組織や構造が見られなくなる可能性もありますので、導電性のあるサンプルや、照射される電子線のエネルギーを下げて、帯電量を極端に減少させることによって、いわゆるチャージアップ(帯電)を避けることができます。
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加速電圧:5.0kV 倍率:5万倍 |
加速電圧:5.0kV 倍率:10万倍 |
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加速電圧:5.0kV 倍率:15万倍 |
加速電圧:5.0kV 倍率:20万倍 |
写真 導電処理を行った薄膜サンプルの表面SEM写真(金属酸化物の薄膜)
無蒸着の薄膜サンプルの表面SEM写真
下図は、サンプル表面に導電処理のための成膜をしないで、加速電圧を減少させて観察した結果を示しています。上の図のように(導電処理をしたSEM写真)、やや分解能は劣りますが細部までの組織や構造も確認でき、表面解析においては非常に有効な評価技術と言えます。
加速電圧:1.0kV 倍率:5万倍
加速電圧:1.0kV 倍率:10万倍
写真 無蒸着の薄膜サンプルの表面SEM写真(金属酸化物の薄膜)
薄膜の断面SEM観察
断面SEMの観察方向
ガラス基板上の薄膜や多層膜の断面SEM写真は、ガラスの性質や特徴を良く把握することで、撮影された写真や結果に対して非常に大きな影響を与えます。すなわち、ガラス断面の作製では、
1)決して研磨してはいけない
2)常にフレッシュな断面を得るようにする
3)ガラス断面は常に不安定な状態にある
4)断面作成においては不当な応力や圧力をかけない
などの注意が必要です。以下に当社のガラス基板上の薄膜や多層膜の断面作製技術と得られたSEM観察結果を示します。
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加速電圧:5.0kV 倍率:5万倍 |
加速電圧:5.0kV 倍率:5万倍 |
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加速電圧:5.0kV 倍率:10万倍 |
加速電圧:5.0kV 倍率:15万倍 |
写真 薄膜サンプルの断面SEM写真(当社で成膜された誘電体多層膜)
いかがでしょうか。ガラス基板などに成膜した薄膜の組織や構造を観察するための当社の高倍率で高精度なFE-SEMによる観察は、今までにも多くのお客様への観察結果をご提供しています。当社のSEM観察は、お客様のニーズに応えるため、またできるだけ新鮮なサンプル面での観察をするために、他の分析と比較しても最短納期で対応しています。現在は、サンプル到着後に平均で1週間以内、また最短で3日以内での処理が可能です(手持ち状況でも変化しますのでお問い合わせ下さい)。
さらに、上記のSEM写真の観察では、EDX(エネルギー分散型X線検出器)を用いて元素の組成分析が同時にできます(ただし、電子線の侵入深度は加速電圧によって変化し、通常はサブミクロンまでの深さの情報を含みます)。これを次項でご説明します。
EDXによる線分析とマップ分析
下図には、当社のS-4000を用いて測定したFE-SEMに装着されたEDXによる線分析とマップ分析の結果を示します。EPMA(電子プローブマイクロアナリシス)によるマップ分析ほどは、検出感度は高くありませんが、微小領域を観察しながら組成の情報も得ることができ、製品開発や製造技術の支援には欠くことのできない評価技術です。
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SiとNbの合金のSEM写真 1000倍 |
SiKαの分布(特性X線像) |
写真 FE-SEM写真の撮影と同時に得られる組成情報(Ta-Siターゲット表面)
EDXによる3成分(C・Nb・Ti)の線分析の結果
比較的低倍率のSEM観察(数千倍程度)を行いながら、EDXによる組成分析が可能です。EPMAに装着されたSEMでは、電子銃がタングステン(W)フィラメントであるために、数千倍以上の倍率では分解能の高いSEM写真の撮影は非常に困難ですが、FE-SEMを用いれば、高分解能のSEM写真とEDXによる組成分析を同時に行うことができます。
当社の深い経験と信頼性の高いSEM評価技術を、ぜひ一度お試し下さい。
このページの情報に関するお問い合わせは、当社伊丹事業所または四日市事業所までお願いいたします。











